カーポートを設置しよう!の参考になるお話し

新築したのでカーポートを設置したい。今は車を駐車するスペースはあるけど、屋根付きのカーポートにしたいなど、カーポートの設置について検討している方もいらっしゃると思います。今回は、カーポートにはどのような種類があるのか、具体的にどのような工事をするのか、設置にあたっての注意点は何か、についてお話していきたいと思います。

車の駐車スペースのタイプ

自宅の敷地内に車を駐車するスペースにはさまざまな方法がありますが、大きく分けると次の3つがあります。
1.オープン
2.カーポート
3.ガレージ
この3つの駐車スペースのタイプについて簡単に説明します。

オープン

屋根などを設けずに、庭の一部を駐車スペースとして使用するプラン。
オープンなので、敷地全体が明るく広々感じますし、車がない時は庭と一体化するようにプランニングしておくと他の用途にも使えたりして便利です。
床面はコンクリートやインタロッキングなど用いてもいいでしょう。防犯面が心配になりますので、ポールやゲートなどを道路との境界に設置してもいいでしょう。

道路ポール脇にポールを設置したオープンなカースペース
(画像提供/三協アルミ)

カーポート

駐車スペースに屋根などを設けるプラン。カーポートはメーカー商品のバリエーションも豊富です。新築でもリフォームでも取り入れやすいプランと言え、実際に設置するケースは多いです。
車に直射日光があたるのを避けたり、雨の日の乗り入れを楽にしたり出来ます。
既成品だけでなく、オリジナルで造作することも可能です。家全体のデザインや素材に合わせて、プランニングするととても見栄えのあるものになります。
基本的にオープンな場所となるので、防犯面に配慮が必要です。

黒い柱の屋根付きカーポート
(画像提供/LIXIL)

ガレージ

ガレージ(車庫)とは、自動車を格納するため建築物のことで、独立したガレージもありますが、建物の中に取り込むビルトインガレージもあります。
雨や風、ほこりなどに車をさらすことがないので、良好な状態で車を維持したい、また、防犯面を重視したい場合などに向いています。
部材を多く使用するため、他のタイプと比べて費用は高くなります。

オレンジ色のガレージ
ガレージ

駐車スペースのタイプを3つお話ししましたが、この中で比較的多く設置されるカーポートについてデザインと素材、さらに実際にどのような工事をするのかについてもう少し詳しくお話していきます。

カーポートの種類

カーポートのデザイン

片側支持タイプ

左右どちらか片側に柱を設置するタイプ。柱のない側がすっきりとオープンで、車への乗り降りがしやすく、限られたスペースを最大限に活用できます。柱の設置のための掘削工事が両側支持タイプの半分で済みますのでその分の施工費用も抑えられます。

片側に柱の付いたカーポート
(画像提供/LIXIL)

両側支持タイプ

左右両側にある柱で屋根を支えるタイプ。片側支持よりも格段に強度があがり安定感が増します。左右対象のデザインとなるのも特徴のひとつです。2台以上駐車できるワイドタイプもあります。

左右に柱の付いたカーポート
(画像提供/LIXIL)

カーポート本体の素材

柱などの構造体の素材

アルミ

最も多く使われている素材はアルミです。軽くて丈夫で、錆びにくい特徴がありますので長く使うことができます。商品のラインナップも豊富にあります。

スチール

アルミより強度が優れています。しかもアルミより安価で費用を抑えられます。しかし、錆びやすいので、錆びに強い塗装など防錆対策が必要です。

屋根の素材

ポリカーボネート

最も使われている素材です。プラスチック製の板で見た目はアクリル板に似ていますが、弾力性に富み、熱にも強く、強度もあって劣化しにくいなどメリットがたくさんあります。また色やカタチのバリエーションも豊富です。

スチール

スチールの板を折り曲げて強度を高めた板を使用します。耐荷重性に優れているので、豪雪地帯などで用いられます。

アクリル、塩化ビニール

かつて使われていましたが、どちらも劣化しやすいという欠点があるため、現在ではあまり使われていません。

カーポートの床の素材

車の重量は軽自動車で約1tあり、軽いものでも約700㎏になります。ミニバンになると2tを超えて3t近いものもあります。そのためカーポートの床は、一般的に強度の高いコンクリートが使われます。機能面からみてコンクリートが駐車スペースの床に一番合った素材です。その他にインターロッキングや砂利など、さまざまな材料を床に敷きつめることもできます。お勧めはコンクリート床ですが、素材ごとのメリット、デメリットについてお話ししますので参考にしてください。

コンクリート

<メリット>

メンテナンスが簡単です。雑草が生えることもなく、雨の日もぬかるんだりしません。
耐久性が高く一般的には50年以上にわたり性能が維持出来ます。

<デメリット>

他の床仕上げと比べると、やはりコストが高くなってしまいます。
コンクリートは打設後も年々硬化しつづけますので、どうしてもひび割れが入ってしまうことがあります。目地入れとワイヤーメッシュ筋の施工をしっかりと行うことで大きなひび割れなどは防ぐことが出来ます。キチンと施工してくれる業者選びはとても重要です。

インターロッキング

インターロッキングとは

「インターロッキング」とは、地面を舗装する方法の1つで、レンガ調のコンクリートブロックを組み合わせて敷き詰める施工のことです。素材はコンクリートですがレンガのように見え、色やデザイン、大きさなど様々な種類があります。レンガよりも強度があるので、駐車場の床に使用することが出来ます。

<メリット>

コンクリート床と同じくメンテナンスが簡単です。雑草が生えることもなく、雨の日もぬかるんだりしません。
コンクリート床と比べるとデザイン性に優れています。サイズや色はさまざまにありますので、いろいろ組み合わせたりしてデザイン性を出すことが出来ます。

<デメリット>

インターロッキングを駐車場に利用する場合はコンクリートの下地が必用です。アプローチなどに施工する場合であれば下地は砕石で固めたうえにモルタルや砂を敷き詰めるだけでも構わないですが、年数経過とともに沈下する可能性があります。
コンクリート下地の上にインターロッキングを敷き詰めることになりますので、費用は高くなります。

波型ブロックのインターロッキング
インターロッキング
スタンプコンクリートとインターロッキングの間にピンコロ石を設置したスペース
インターロッキング+スタンプコンクリート+ピンコロ石

砂利敷

砂利の種類

砂利にもいろいろな種類があります。玉砂利といわれる角が丸みを帯びたものや砕石といわれる人工的に砕いた角が鋭利なものなどがあります。丸い砂利は車が通るたびに動いてしまいます。お寺などの砂利路を歩くとふかふかとして少し歩きづらいと感じた事はありませんか。そのように砂利同士が動いてしまい押し固めることは出来ませんので、駐車場に玉砂利は使いません。砕石のように角が鋭利に砕かれたものであれば石どおしが強く固定されて安定します。もしも、駐車場に砂利を使うときは砂利の種類にも目を向けて検討してください。

<メリット>

砂利敷のメリットは工期が短くコストも抑えられることです。
また、侵入者があった時に砂利で音がしますので防犯上の効果も期待できます。

<デメリット>

タイヤの溝に砂利が挟まってしまいます。場合によっては石が弾き飛んで車体や他のものに傷をつけてしまうことも考えられます。
砂利で雑草は完全には抑えられません。しばらくすると砂利の間から雑草が生えてくる事が考えられます。
砂利(砕石)の下地は押し固めていますので水はけは悪くなります。他の部分は乾いていても砂利の下には水が溜まっているという事もあります。

白い玉砂利石
玉砂利
5号砕石
砕石

カーポートの床の素材についてお話しました。
また、これらの素材を組み合わせて施工することも可能です。
素材を組み合わせると変化に富んだデザイン性で車が停まっていない時にも楽しめるスペースにもなります。

カーポートの工事内容

カーポート本体のデザインや種類が変わっても本体の設置工事内容はあまり変わらないですが、床をどのようにするのか、また現在の床がどうなっているのかによって、工事の内容が変わってきます。
ここでは床工事の基本となるコンクリート床の工事について少し詳しくお話しします。

コンクリート床の工事

STEP
施工したい地面の土を掘る

道路の高さから約20~30cmほど下がったところまで土を掘り起こします。

STEP
砕石を均等に敷いて転圧する

土を掘り起こしたら、砕石を均等に詰めていきます。重いコンクリートが沈んでいかないように、砕石をよく押し固めます。

STEP
枠組みを作ってメッシュ筋を設置する

コンクリートは固まった後も年々少しずつ硬化し続けていきます。広い面積全体に流し込んで施工すると収縮によりひび割れが起こりますので一定範囲内に収める必要があります。そこで範囲を区切って流し込めるように、木で枠組みを造ったりエキスパンタイという専用の目地を設置します。さらに、コンクリートの強度を上げるため枠組みの中にワイヤーメッシュや鉄筋を入れて補強します。

エキスパンタイで区切った
コンクリート床の基礎
STEP
練ったコンクリートを流し入れる

枠組み内にコンクリートを流し込んでいきます。大量のコンクリートが必用ですので、一般的にはコンクリートミキサー車で流し入れます。

STEP
コンクリートの表面を仕上げる

全面にコンクリートを流し込んだら、表面を水平に整えながらならしていきます。

STEP
作業完了

施工が終わった後はコンクリートが固まるまで養生します。車を置くことが出来るまで天気の状況にもよりますが、5日程度置きます。コンクリートが完全に固まったら完成です。

カーポート本体の設置工事

カーポートの柱を床に固定するための穴あけから本体の組立、屋根の取付けまでの一連の工事です。

STEP
本体部材の加工

本体や屋根を設置する際に、現状のスペースの広さに応じてカットする場合があります。その場合は組立をする前にカットを行います。カットしたことにより、ボルト取付穴が無くなってしまう事がありますので適切な位置に穴あけをします。

STEP
柱と屋根の取付

まず柱を埋め込む穴を掘ります。次に掘った穴に柱を仮固定します。
柱を仮固定した状態で屋根の取付を行います。カーポートの組立は言ってみれば巨大なプラモデルといったところでしょうか、図面を見ながら組立を行っていきます。

カーポート屋根の設置作業中
STEP
柱の固定

柱と屋根の取付が完了したら、仮固定している柱の根本にモルタルを流し込んで固定します。
しっかり完全に固まるまで養生します。完全に固まるまでは5日程度かかります。

STEP
排水経路の確認

工事に直接影響はありませんが、雨水の排水経路についても事前に確認しておくことが重要です。

STEP
工事完了

全て設置完了後に点検を行い工事完了です。

カーポートを設置するにあたっての注意点

スペースの広さと向き

道路に対して、平行に停めるのか、直角に停めるのかによってスペースの広さ形が変わってきます。
新たにスペースを確保する場合は、敷地と道路との接地状況も含めて考えてください。

道路と直角のカースペース図
道路と平行のカースペース図
道路と斜めのカースペース図

前面道路が狭い場合や、駐車スペースを十分に確保出来ない場合は、駐車スペースの入り口を斜めに区切ってあげることで車の出し入れがしやすくなります。

狭い道路と直角のカースペース図
狭い道路と平行のカースペース図

駐車スペースに必要なゆとり

車の車体の幅と長さにどれだけのゆとりが必用なのか下図を参照してください。

駐車スペースに必要な寸法図

柱が邪魔になる

実際にカーポートを設置したあとで使ってみたら、柱が邪魔になるというケースが以外に多いです。道路と駐車スペースとの位置関係などから実際の車庫入れや乗り降りを考えて柱が邪魔にならないようにすることが重要です。

カーポートの周りが暗くなる

屋根の設置によって玄関や庭の日当たりが悪くなる場合があります。屋根の素材を透光性のあるものにしたり、屋根の高さを少し高くしたりして明るさを確保する方法があります。しかし、屋根を高くすると雨風が吹き込みやすくなります。明るさの確保との兼ね合いも含めて検討しましょう。

将来を見据えて

現状は問題がなくても将来的に車の買い替えなどで狭さを感じる可能性があります。可能であればスペースの余裕を確保しておきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。
車の駐車スペースの種類として
  ・カースペース
  ・カーポート
  ・ガレージ
の3つがあること。
その中から比較的に設置されることが多いカーポートを中心に説明してみました。
実際にカーポートを設置する場合にどのような工事を行うのか、またカーポートを設置するにあたっての注意点についてもお話ししましたので、参考にしていただき車の駐車スペースをどのようにするか検討してみてください。
最後に、他のサイトでも同じような内容の記事が掲載されています。その中にあまり書かれていないことですが、屋根のない場所に車を止める場合と比べると、カーポートは屋根がある事で冬場に霜がおりにくくなるというメリットもあるんです。