外構工事を失敗しないために(アプローチ編)

前回、外構工事をした後で、後悔したくないですよね。外構工事を失敗しないためにはどんな事に注意すればいいのかについて駐車スペースに絞ってお話しました。
今回は、玄関周りのことについてお話していきますので、参考にしてください。

外構工事のよくある失敗例(アプローチ編)

外構工事の中でもアプローチ周りは建物全体の景観作りに関わるとても重要な部分となります。

母と子がソファで頭を抱えている写真
disappointed mother and little child on the sofa


そのアプローチ周りの工事に失敗する例とはどのような事例があるのか、またどうすれば失敗を防ぐ事ができるのかということをお話ししていきます。

今回のお話しは下記の2点についてとなります。

  • アプローチに滑りやすい素材がある。
  • 暗いエントランスは防犯面が不安。

アプローチとは

外構のアプローチとは、道路や門から玄関までの通路のことを言います。
ファサードと言われる建物全体の景観の一部になりますので、とても重要な空間となります。
外出するときにはこのアプローチを通っていくため、元気よく外出したり、気持ちよく帰宅できるような空間にしておきたいですよね。
心地よく快適なアプローチづくりが大切ですが、注意しておきたい点がありますので参考にしてください。

アプローチに関するよくある失敗例として、「アプローチの素材が滑りやすいので危険だ」ということです。では、そのアプローチに使用される素材にはどのようなものがあるのか確認していきましょう。

アプローチによく使われる素材

アプローチによく使われている素材といえば次の素材です。

  • タイル
  • レンガ
  • インターロッキング
  • コンクリート
  • 自然石
  • 枕木
  • 砂利

それでは、ひとつずつ詳細を見てみましょう。

タイル

玄関アプローチでよく使われている素材のひとつです。一般的に正方形か長方形で、サイズ・色・質感は様々なものがあります。素材によっては濡れると滑りやすいタイルもあるので、雨天時でも安全な滑りにくいタイルを選びましょう。また、表面がフラットに仕上がるので、ベビーカーやキャリングケースの移動もしやすくなります。

メリット
  • 傷に強くメンテナンス性にも優れる
  • サイズ、色、質感などバリエーションが豊富
  • 他の素材の自然石やレンガよりも一般的に安い
デメリット
  • 滑りやすい(※製品による)
  • 施工によっては浮きが出て割れることがある(施工上の問題)
タイル素材の玄関アプローチ

(画像提供LIXIL)

デメリットの対処法
  • 製品によって滑りにくいものがありますので、事前によく見比べて検討しましょう。
  • 浮きが出るのは素材の問題ではなく施工上の問題です。しかしながら浮きが出てしまうことはよく起こります。安心して任せる業者を選ぶことが大切です。

レンガ

レンガは建築材として古い歴史を持ちます。一般的には赤茶色ですが、黒や灰色、黄色など様々な色のレンガがあります。質感はサラッとしたものやザラザラしたものがあり、エイジングの効いたアンティークなものもあります。温かみを感じる素材で和風にも洋風にも合う素材ではないでしょうか。

メリット
  • 時間の経過とともに味わい深くなる
  • 水を吸収するため水はけがよい
  • カーブをつくりやすく変化に富んだアプローチにできる
デメリット
  • 風化して苔が生えると滑りやすくなる
  • 割れる場合がある
  • 下地をしっかりしていないと凸凹になる
レンガ素材の玄関アプローチ
デメリットの対処法
  • 本物のレンガは粘土で作られているため、どうしても他の素材を比較すると強度は落ちます。また風化もしやすいのが現実です。全体にレンガを敷き詰めるのではなく部分的に使ったりすることでデザイン性も高めることが可能です。
  • また、凹凸になるケースは施工上の問題が大きな要素となります。タイル施工と同じく安心できる業者を選ぶことが重要です。

インターロッキング

インターロッキングとはレンガ調のコンクリートブロックを互いにかみ合わせるようにして舗装する施工のことです。素材はコンクリートですがレンガのように見え、色やデザイン、大きさなど様々な種類があります。レンガよりも規則的で統一感のある感じになります。

メリット
  • 工夫したデザインにより個性を出せる
  • すき間があるため水はけが良く滑りにくい
  • 強度があり耐久性がよい
デメリット
  • すき間の目地から草が生えてくる場合がある
  • コンクリート製で色を付けているため色落ちすることがある
  • 下地をしっかりしていないと凸凹になる
インターロッキング素材の玄関アプローチ
デメリットの対処法
  • 目地砂には防草機能がついたものもあります。気になるようでしたら防草機能が付いた目地砂で施工することも可能です。
  • 色落ちについては、製品により格差があります。再塗装などのメンテナンスで色を復活させることも出来ますが、色落ちしないものを選ぶことも可能です。
  • もはや、素材の問題というよりも施工上の問題の方が多いことに気がついたでしょうか。インターロッキングにおいても施工上の注意が必用です。くれぐれもキチンと施工してくれる業者選びをしましょう。

コンクリート

コンクリート仕上げは、無機質でスッキリとシンプルな印象に仕上がります。表面の仕上げ方法も種類がありますので、好みの仕上げにすることが出来ます。仕上げ方によっては濡れると滑りやすいこともあるので配慮が必要です。また、コンクリートに型を押し付けて模様をつけるスタンプコンクリートという工法を用いることで意匠性をつけることも可能です。

メリット
  • 強度と耐久性がある
  • 雑草が生えない
  • 流れるような曲線の形にも使用できる
デメリット
  • 少し味気ない印象になりがち
  • 濡れると滑りやすいこともある
  • 暑くなりやすい
コンクリート素材の玄関アプローチ
デメリットの対処法
  • 他の素材と組合せたり、スタンプコンクリート工法を用いてもよいでしょう。
  • 仕上げを洗い出しにしたり、デザインを考えて滑りにくくする対策をすることが必用かもしれません。
  • コンクリートは熱を蓄える性質があり、夏の強い日差しで相当な暑さになる事があります。水打ちなどの対策をするため、近くに水栓があると便利iです。計画段階から水栓設備の設置を検討しておきましょう。

自然石

石の種類は御影石・花崗岩・石英岩・ピンコロ石など様々なものがあります。
形は四角に切り込んだものや、自然な形を活かした乱形などがあります。
自然石のアプローチは高級感のある印象になります。さらに大判サイズの自然石はダイナミックな印象にもなります。
種類によっては濡れると滑りやすくなるので、滑りにくい加工を施してあるものを選ぶなど注意が必要です。

メリット
  • おしゃれな景観になる
  • 割れにくく耐久性がある
  • 雑草が生えにくい
デメリット
  • 他の素材と比べて費用が高くなる傾向がある
  • 濡れると滑りやすくなる場合がある
  • 乱形石貼りの場合など、職人のセンスや腕前によって仕上がりが左右される
自然石素材の玄関アプローチ
デメリットの対処法
  • 敷石の種類や量によって変動しますので、デザインなどで工夫しましょう。
  • 石の表面がツルツルではなく凹凸のある素材を用いましょう。また、石のサイズを小さく目地を増やして、滑りにくくすることも可能です。
  • またしても施工上の問題です。くどいようですが、重要なのは業者選びですね。

枕木

もともと線路上に使われていた枕木ですが、エクステリアの素材としても人気でよく使われています。
天然木の枕木はメンテナンスが必要ですが、いずれ腐って交換する時期がきます。コンクリート製や樹脂製の枕木もありますので、メンテナンスを楽にしたい場合は、腐らないものを選ぶのもよいでしょう。
使い方としては枕木単体での使用というよりもレンガや石材など他の素材と組み合わせるケースが多いようです。アンティークな感じやナチュラルな雰囲気の玄関アプローチにはオススメの素材です。

メリット
  • 趣があるスペース作りができる
  • 和洋どちらのテイストにもマッチする
  • 比較的安く施工できる
デメリット
  • 木材だと腐りやすく、シロアリなどがつく場合がある
  • 防腐剤が使われている場合は植物への影響が心配される
枕木素材の玄関アプローチ
デメリットの対処法
  • メンテナンスの負担を減らしたいという場合、コンクリート製や樹脂製の枕木を選んでみるとよいです。本物の枕木と一見、見分けがつかないようなものもあります。

砂利

玄関アプローチに使われる砂利は「化粧砂利」と呼ばれるタイプです。
色はグレーやホワイト、イエロー、ピンクなど様々な色があります。
地面に除草シートなど敷いて。砂利を敷くと雑草が生えにくくなりますが、完全に防ぐことはできません。
防犯対策も兼ねるのであれば音のなりやすい石を使うのもオススメです。

メリット
  • 施工費用が最も安い
  • 歩くと音が出るため防犯効果がある
デメリット
  • 落ち葉やごみなどを掃除するときが面倒
  • 歩きづらくなる
  • 雑草を完全に防ぐことはできない
砂利素材の玄関アプローチ
デメリットの対処法
  • 砂利を全面に敷いてアプローチを作ると歩きづらくなったり、ベビーカーやキャリングケースの移動もしづらくなってしまいます。歩くスペースには敷石を置いたり他の素材と併用して施工する工夫も必要です。
  • 雑草対策は防草シートだけでもある程度の効果はあります。また砂利を厚く敷くことでも効果が期待できます。

滑りやすい素材に注意

ここまでお話しした素材のデメリットに「滑りやすい」と記載した素材は「タイル」「レンガ」「自然石」「コンクリート」ということになります。
しかし、インターロッキングや枕木その他の素材でも滑らないということではありませんので注意が必用です。施工業者と「この素材でこのような施工をした場合に滑りやすくならないか」よく話合っておいてください。
また、素材によっていろいろな製品が提供されていますので、滑りにくい素材を選ぶことも大事になります。
さらに、施工方法を工夫して滑りにくくする事も可能です。事前によく業者と打合せすることが重要となります。

アプローチのある方角にも注意

ここまで、アプローチに使用する素材のお話をしてきましたが、アプローチがある位置関係を考慮する必要があります。

たとえば南側にあるアプローチと北側にあるアプローチでは日当たりなどの環境が違うため、同じ条件で素材を検討することは避けるべきです。
北側アプローチは日当たりが悪く、湿気が溜まりやすいため苔なども生えやすくなります。
一方で南側のアプローチは日当たりが良いのが特徴ですが、日差しが強すぎると赤外線の影響での劣化は北側よりも進んでいきます。
北側では湿気対策、南側では赤外線対策を考慮して素材を検討してみてください。

一例ですが、

  • 北側で使用しない方が良い素材
    自然石による乱貼りやコンクリートの洗い出し仕上げなどは湿気により苔が生えると滑りやすくなります。
  • 南側で使用しない方が良い素材
    使用しない方が良いという素材は特にありません。強いて言えば、インターロッキングの場合に紫外線による色落ちが気になってくるかもしれません。

アプローチに照明をつけよう

玄関アプローチに照明を付けたイメージ写真

(画像提供LIXIL)

アプローチを通る際に足元が暗くて何かにつまづいたという経験はありませんか。

玄関の照明はほとんどの家に設置されていると思いますが、足元を照らす照明や玄関までの誘導灯などが付いているお宅はまだそれほど多くはないようです。

新築時にあらかじめ電気配線も計画しておけば、地中配線にしてスッキリとしたアプローチを作ることができます。

工事が終わった後から、アプローチが暗くて歩きづらい、照明を付けたいなと思っても電気配線の取り回しなど工事が大変になります。計画段階から検討しっておきましょう。

誘導灯を常時点灯すると電気代が気になるという場合も、センサー付きの照明にしておけば人が通った時に点灯しますし、不審者が近づいた時にも点灯するので防犯面でも効果があります。

外構アプローチは玄関とつながっていますので、防犯性を高めておくことが重要です。
暗いアプローチは人目に付きにくく不審者の存在に気づきにくいですよね。
防犯性を高めるためにも、ある程度の見通しができて明るい空間を造ることが大切です。

まとめ

今回は、アプローチ工事で失敗しないためのお話しをしました。
アプローチに使用する素材はどのような物があり、何に注意すれば良いか。
アプローチの照明は、足元を照らして安全性を高めると同時に防犯性も高まること。

この記事を作成していく中で、今更ながら気が付いた事があります。
それは、業者選びはとても重要だということです。
外構工事プランは事前準備と検討をしっかりと行っていきつつ、業者選びも間違わないようにしたいものですね。

次回はその他の例についてお話していきたいと思います。